人生のこの時期に「教えること」にたずさわり、とても感謝しています。「教えること」はそのまま「学ぶこと」です。教えるために、調べたり、工夫したり、自身の体験や経験を振り返り、使える知識としてまとめる作業など全てが「新たな学び」です。今日は「教えることから学んだこと」を書きます。
ある言葉が人生に変化をもたらす
ファッションビジネス専門学校で非常勤講師をしています。2020年春からスタートして、今年で4年目。「ブランドプロデュース」と「ファッションブランド研究」という講座を週イチ受け持っています。
講師をする前は、中国の工場で企画生産したセーターをアパレルに販売するビジネスをしていました。協業していた商社との契約が終了したタイミングで、講師の依頼を受けたのです。
日々の中国の工場とアパレルの担当者とやりとりする生活が終わって、さあどうしようとなっていた時期だったので、喜んで引き受けたました。引き受けたは良いもの思った以上に「教えること」は大変でした。教員免許も持っていませんので、どのように教えたら良いか苦労しました。
講師経験といえば、百貨店が経営するファッション専門学校で数回教えたことと、新入社員を対象にバイヤーとはどんな仕事をしているのかという講義を数年したくらい。今回のように、年間通期の講座を受け持つのは初めての体験です。初年度は週1回の講義に対して、毎日数時間の準備をして挑む状態。50分✖️3コマのブランドプロデュースの講義は、いかに学生を飽きさせないかに苦心しています。
ファッションビジネスだけでなく、ビジネス全般にも当てはまる知識を伝えることを主眼においた内容です。毎回新たな講義に挑むのですが、少し難しい内容だと「退屈してますオーラ」が発生します。
明らかにオーラが見えるのです。そのオーラを最初に見た時は、このまま続けても寝てしまうだけ、、、どうしよう、、、とパニックになりました。(これは今もたまに起きる現象です)
言葉の説明や、ファッション業界のことを、ファーストフードなどの外食産業に例えたりして、内容を理解してもらうのに必死です。講義を聞くばかりだと、やはり集中力が落ちできますので、グループワークや個人ワークなどの課題を設定しています。課題設定も簡単ではありません。
コンセプトに立て方や、企画書の作成方法などの説明はできます。「何を観るか」「どのように考えるか」「考えたことの表現の方法」については、百貨店バイヤーとしてのメイン業務でもあり、色々な事例で解説します。
わかってもらえたかどうかを判断するのが、提出物です。
個人差があるのはもちろん理解できるのですが、いきなりこのレベルの課題に取り組んでもらうのは難易度が高いことに気がつきました。
表現する言葉を持っていないというのが大きいのですが、観察する視点が漠然としていたり、誰でもが考えることの領域で止まっていたりしていたのです。
ここから学んだことが一番大きかったと言えます。私にとっては、高校卒業したレベルをわかっていなかったということです。下に見ているのではありません。教えるステップの階段をもっと基礎からに設定し直すという気づきです。
基礎体力は何をするにも大切です。「観察する」や「考える」「表現する」の基礎体力をつけるワークが必要と感じたのです。観る、考える、表現するというワードは、自分自身が学び直したいメニューでもありました。
講義内容を考えることは、そのまま自身の学びになるという気づきを得てからは、哲学や思考術、文章表現に関する本で気になる本はすぐにポチって読むようになりました。読書から多くのことを学んでいます。講義に使えそうな切り口も見つけることができています。人生で一番本を読んでいる時期です。
新たな知識を得て、学生にわかりやすく教えるというサイクルに少し安心感を得ていた時に、衝撃的な一文が目に飛び込んできました。
教育とは炎を燃え上がらせることであり、入れ物を埋めることでは無い
ソクラテス
この言葉に出会って、足元をすくわれたというか、トンカチで頭を殴られたというか、目から鱗というか、、、、
「ああ、、入れ物を埋めること」「それしかしてこなかった!」
親鳥がひな鳥に餌をやるように、ほっぺ一杯に溜め込んだ知識を咀嚼して与えることが教育だという認識しか持っていませんでした。
もちろん、知識を与えることは重要です。物の見方、考え方など、さまざまな手法を学んでもらいたいと講義をしてきました。残念ながら、そのレベルで終わっていたということです。
学生の心に炎を灯すにはどうした良いか、その炎を燃え上がらせるにはどうしたら良いか
よし、考えて実践しよう!
ソクラテスの言葉が私の心に炎を灯し、燃え上がらせたのです。
ありがとうソクラテス!
この言葉に出会えて感謝しています!
4月から始まる内容は、新たな気づきをもとに、講義を準備しているところです。
今日もありがとうございます。
Franz BachingerによるPixabayからの画像
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