言葉だけが表現方法じゃない。身体を使った表現について井場さんに聴いてみた!

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このブログサイトの企画運営はレボネオの井場美穂さんにサポートしてもらっている。
井場さんは、WEBデザイナーだけでなく、身体表現者としてのダンサーでもある。
ダンサーとしての表現者は何を考えているのか?などといった素朴な疑問などなど、
今回は対談の内容を記述することに。

濱中 まずは、ダンスをはじめたきっかけを教えてください。

井場 きっかけは本当に単純で、体が柔らかかったのを見て親がバレエをやってみたらと言い出したのが最初です。通っていた幼稚園の文化教室にたまたまバレエ教室があったのも大きな要因ですね。

濱中 ダンスをやってて、得られる喜びってなんですか?

井場 パフォーマンスをする場合はやはりオーディエンスのリアクションですね。拍手はもちろん、終演後の感想を読むのはいい評価でも良くない評価でも嬉しいです。ダンスそれ自体の話でいうと、私の場合はダンスをしてるといいことが起こるというのが一つです。ダンスを通しての出会いは深い繋がりになることが多いし、なぜか色んなことがいい方向に進むという感覚があります。思い返すと順風満帆なことばかりというわけではないのですが、それでも幸福度は高いなと。

濱中 ダンスをしているといいことが起こるって、、、僕も踊ろうかなって思います(笑)
   さしつかえなければ、今までどんないいことが起こりましたか?

井場 留学していた頃教会に通っていてそこでダンスのパフォーマンスをする機会があったんですが、それをみに来ていた別の教会の人が日本人コミュニティーを紹介してくれて、そこで出会った日本人の女の子と姉妹のように仲良くなりました。様々な不安が解消され充実した学生生活を送れたのは間違いなく彼女のおかげですし感謝しかないです。他の話だと、数年前にダンスサークルを立ち上げたことがあって活動自体は上手くいかなかったんですがそのときの参加者の子がダンスのワークショップを紹介してくれて、そこで同じクラスを受講していたダンサーにスカウトされたんです。その人が今一緒に活動している演出家で、彼とは一緒に何度も舞台公演を行なっていますし、そこで出会ったダンサーや他のアーティストたちとの出会いも宝物です。

濱中 人と出会い、仲良くなる。その関係性が続くって、何より嬉しいことですよね。
それって、ダンスをやっている人しかわからない感覚、共感というか共鳴するというようなことがあるからなのですか?

井場 ダンス自体が特別な何かを持っているというよりは、私にとってはダンスというものが大事なんだろうなと思います。最近気づいたんですが私は人に心の内を見せるというのが本当に苦手で、でもダンスをしているときは多分隠し切れてなくって素のわたしが出てしまってるんだと思うんです。その状態で交流できる仲間というのはやはり深いところで繋がれるんじゃないかなと。そういう意味では心の内が表に出てしまうというのはダンスの特徴かもしれないですし、そこで共鳴できる感覚があるのはダンサーの特権かもしれません。

濱中 ご自身の心根を隠さず、自分らしくある状態でいられるって、、、とても素敵ですよね。
自分らしくあるって、私自身も説明するのが難しい状態ですが、一緒にいて心地よく感じれる人の前では自分らしい自分がそこにいるのでしょうね。
表現者としてのご自身と客席のお客さんとは、どんな関係なのでしょうか?

井場 これはパフォーマーの思想によるとは思うんですが、自分の身体を通して私がいま何をみてきいて、考え感じているのかを観客に伝えたいと思っています。そこから観客が得るものはそれこそ人によって様々ですし、そこに自由があるのは鑑賞の醍醐味です。自分自身を投影したり、追体験したり、はたまた客観的な視点から考察をしたり。私たちは自分の思いを表現することも重要ですが、パフォーマンスである以上どう見られているのか、どう見えるのかという視点も常に持っています。そしてどう見せるとどのように伝わるのかということを研究することは永遠の課題だと思っています。

濱中 自分がいて、他者がいて、その関係性を観ている視点の自分という構造があるようですね。
 ご自身を媒体として何を表現するのか、何を伝えるのか、それを観る側に届けるということですが、伝わったかどうかは分かるものなのでしょうか?

井場 正直わたしはそういう感覚に疎いので肌感で伝わってるかどうかを感じ取ることはできないのですが、、 でも文字での伝達のように明確に同じメッセージを受け取る必要はないと思っています。例えば大切な人と死別したという事実があったとして、そのときに何を感じるかは人それぞれですし「悲しい」や「辛い」といった単語だけでは言い表せない複雑な心の動きがあると思います。私たちは身体を通してその人がみている景色、きいている音、感じている匂いや温度、今まで経験してきた過去や未来に描いていたビジョンなどのその人自身を構成する物事を伝えることで、他者と何かを共有できると思っています。

濱中 聴いていると、ダンスという表現は言葉という抽象化した記号を使わないコミュニケーションなんですね。ダンスの表現者が放出したものが、それを観る側がそれぞれの解釈で感じとるって、一種の共創関係にあるってことなのでしょうか。

井場 そうですね。でも映画や小説なんかでも観る側が好きに解釈するというのは同じなんですよね。アートと呼ばれるものはその振れ幅がもっと広いというだけで。最近では解釈の解説とか求めがちですが、もっと好きに受け取って考えたり感じたりすればいいのだと思います。製作者の意図通りに理解することが正解というわけではないです。

濱中 観る側は自由に感じ取るというこで良いのですね。

井場 はい。私が普段しているコンテンポラリーダンスという領域は特に抽象的な表現が多いので、こちらの意図や思いなんか遥かに超えて解釈してくれる人がたくさんいます。「こんなシーンに見えたよ」とか「よく分からないけどこんな風に感じた」というような感想を聞けるととても嬉しい気持ちになります。

濱中 井場さんのダンスを見た時に、ときにゆっくり、ときに激しく動く姿から、心がザワザワ波立つ感覚だけが、、、
なんと表現して良いか、言葉にならないって、こいうことにも当てはまるなあっていう感じ。 
言葉に頼らず、身体の動きで観る者の心を揺さぶるダンスという表現方法。
それを観て得られる感覚を言葉にするのは、ダンスを見た経験が少ないからかとても難しい。もっといろいろなダンスを見ていれば、なんらかの言語にできるのかもしれないけれど。まだまだ興味が尽きないので、次回もいろいろ聴いてみたいと思います。

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